タクさん編 第18話|私たち、付き合うことになりました。曖昧だった二人の関係が変わった夜

恋愛と本音

好きだと認めてから、
初めてタクさんに会う日。

それだけなのに、
いつものデートとは少し違いました。

鏡の前で髪を直して。

イヤリングをつけて。

一度バッグに入れたリップを、
なぜかもう一回取り出して。笑

「これで変じゃないよね?」

誰に聞くでもなく、
鏡の中の自分に確認していました。

前までは、

タクさんが私のことを
どう思っているのか。

そればかり気にしていたのに。

この日はもう、
自分の気持ちを知っていました。

私は、
タクさんが好き。

だからこそ、

会えるのがうれしくて。

その分、
いつもより少し緊張していました。

でもこの時の私は、
まだ知りませんでした。

何度も服を確認して出かけた、
この日の帰り道。

ずっと曖昧だった私たちの関係が、

「好きな人」から
「彼氏と彼女」に変わることを。

エリ
エリ

好きって認めてから会うだけで、こんなに緊張するんだって思いました。笑

好きだと分かってからのデートは、少しだけ違って見えた

待ち合わせ場所に向かいながら、
いつもより何度も時計を見ていました。

遅刻しそうだったわけじゃありません。

むしろ、
少し早く着きそうなくらい。

それなのに、

「もういるかな」

「今日、最初になんて言おう」

そんなことばかり考えていました。

好きだと認める前なら、

「今日も楽しく話せたらいいな」

くらいだったと思います。

でもこの日は違いました。

少しでも可愛く見られたい。

会った時、
うれしそうにしてくれたらいいな。

そんな気持ちが、
自分でも分かるくらい増えていました。

そして待ち合わせ場所に着くと、

少し離れたところに
タクさんがいました。

私より先に来ていて、
こっちに気づくと軽く手を上げる。

その姿を見ただけで、

「あ、やっぱり好きだな」

って思ってしまったんです。

自分の気持ちを認めた後って、
こんなに分かりやすくなるんですね。笑

エリ
エリ

見つけただけでちょっとうれしいって、もう完全に好きな人なんですよね。笑

会っていない時間までタクさんを考えるようになって、ようやく「私、この人が好きなんだ」と認めた夜のことは、前のお話に書いています♡

会ってしまえば、いつものタクさんだった

「待った?」

そう聞くと、

「いや、俺も今来たとこ」

タクさんは、
いつもの感じで笑いました。

その瞬間、
朝から一人で緊張していたのが
ちょっと恥ずかしくなりました。笑

好きだと自覚したからって、
タクさんが急に変わるわけじゃない。

いつもの声で。

いつもの話し方で。

いつものように、
私の歩く速さに合わせてくれる。

そんな何でもないことに、
前より気づくようになっていました。

お店に入ってからも、
会話はいつも通り。

仕事の話をしたり。

最近食べたものの話をしたり。

どうでもいいことで笑ったり。

私が勝手に緊張していただけで、

始まってしまえば、
いつもの楽しい時間でした。

ただ。

前までとは、
ひとつだけ違うことがありました。

タクさんが笑うたびに、

「この人の彼女になれたらいいな」

って。

そんなことを考える自分がいたんです。

エリ
エリ

まだ付き合ってもないのに、「彼女になれたらいいな」とか普通に考えてました。笑

帰りたくないと思った時、好きがもっとはっきりした

楽しい時間って、
本当にあっという間なんですよね。

気づけば、
お店を出る時間になっていました。

外に出ると、
昼間より少し冷たい空気。

さっきまでお店の中で笑っていたのに、
帰る時間が近づいた途端、

私は少しだけ寂しくなりました。

「もう終わっちゃうんだ」

そう思ったんです。

前にもタクさんと会ったあと、
また会いたいと思ったことはありました。

でもこの日は、

また会いたいというより、

「まだ帰りたくない」

の方が近かった気がします。

だからといって、

「もう少し一緒にいたい」

なんて素直に言えるほど、
私は可愛くありませんでした。笑

何でもない顔をして、
タクさんの隣を歩きながら、

少しだけゆっくり歩けばいいのに。

なんて思っていました。

好きな人との帰り道って、

行きよりも時間が早く進む気がするの、
なんでなんでしょうね。

エリ
エリ

「まだ帰りたくない」って言えたら可愛いんですけどね。私は心の中で思ってるだけでした。笑

いつもの帰り道なのに、タクさんが少しだけ違って見えた

駅の方へ歩きながら、
私たちはまだ普通に話していました。

今日食べたものの話。

次の日の仕事の話。

本当に、
いつもと変わらない会話です。

でも途中から、

タクさんが少しだけ
静かになった気がしました。

ずっと無言になったわけじゃありません。

話しかければ、
いつも通り返してくれる。

ただ、

何か言いたそうというか。

少し考えているような感じ。

「疲れたのかな?」

最初は、
それくらいに思っていました。

私も私で、

もうすぐ駅に着いちゃうな。

今日はこのまま帰るのかな。

次はいつ会えるんだろう。

そんなことを考えていたので、

タクさんが何を考えているのかまでは
分かりませんでした。

でも。

駅が近づいてきたところで、
タクさんが少し歩く速度を落としたんです。

私も合わせるように、
ゆっくり歩きました。

そして、

少しだけ間が空いたあと。

タクさんが私の名前を呼びました。

エリ
エリ

この時はまだ、「なんか言おうとしてる?」くらいにしか思ってませんでした。

「俺たち、ちゃんと付き合わない?」って言われた

「エリ」

名前を呼ばれて、

「ん?」

ってタクさんの方を見ました。

すると、
さっきまで普通に話していたタクさんが、

少しだけ言いにくそうな顔をしていました。

そして、

「俺さ」

と一度言ってから、
少し間が空きました。

何だろう。

そう思って待っていると、

タクさんが言いました。

「俺たち、ちゃんと付き合わない?」

一瞬、

言われた言葉の意味を
頭の中でもう一回繰り返しました。

付き合う。

私とタクさんが。

その言葉を理解した瞬間、

うれしいより先に、

「え?」

って声が出ました。笑

たぶんタクさんも、
私の反応が想像と違ったんでしょうね。

「え、嫌だった?」

って笑われて。

私は慌てて、

「違う違う。びっくりしただけ」

って答えました。

だって少し前まで、

私ばっかり好きになっていたらどうしよう。

タクさんは私のこと、
どう思ってるんだろう。

そんなことばかり考えていたんです。

その答えが、

こんなに突然、
本人の口から出てくるなんて思っていませんでした。

エリ
エリ

待ってたはずの言葉なのに、本当に言われると最初に出たの「え?」でした。全然可愛くない。笑

「うん」と答えた瞬間、タクさんが彼氏になった

タクさんに、

「嫌だった?」

って聞かれて、

私は首を横に振りました。

そして、

「ううん。私も……付き合いたい」

って答えました。

今思えば、

もう少し可愛い言い方が
あった気もします。笑

でもその時は、
それが精一杯でした。

タクさんは、

「よかった」

って笑って。

私も、
つられて笑いました。

たったそれだけ。

映画みたいな告白でもないし。

夜景の見える特別な場所でもない。

大きな花束があったわけでもない。

いつものデートの帰り道で、

いつものタクさんに、

「付き合わない?」

って言われて。

私が、

「うん」

って答えただけ。

それなのに、

その数秒で、

さっきまで「好きな人」だったタクさんが、
私の「彼氏」になりました。

不思議ですよね。

隣を歩いている人は、
数分前と何も変わっていないのに。

私たちの関係だけが、
ちゃんと変わっていました。

エリ
エリ

何か劇的なことが起きたわけじゃないのに、「今日から彼氏なんだ」って思ったら急に照れました。笑

「彼氏」になったのに、帰り道はまだ少し照れくさかった

付き合うことになったあとも、
私たちは駅まで一緒に歩きました。

でも不思議なことに、

さっきまで普通に歩いていた道なのに、
急にちょっとだけ照れくさい。

隣にいるのは、
何分か前までと同じタクさんです。

話し方だって変わらないし、
見た目が変わったわけでもない。

なのに頭の中では、

「この人、彼氏なんだ」

って何度も考えていました。笑

タクさんも少し照れていたのか、

いつもより
どうでもいい話をしていた気がします。

私も同じでした。

本当は、

「うれしい」

とか、

「ずっとどう思われてるか気になってた」

とか。

言いたいことは
いろいろあったはずなのに。

いざ付き合うことになったら、
急に恥ずかしくなってしまって。

結局、
いつもと変わらない話をしながら歩いていました。

でもその“いつも通り”が、
私はすごくうれしかったんです。

恋人になったからって、
急に何かを変えなくてもいい。

さっきまで好きだった人が、

そのまま隣にいてくれる。

それだけで十分でした。

エリ
エリ

付き合った瞬間から急に恋人っぽくなるわけじゃないんですよね。むしろ最初はめちゃくちゃ照れました。笑

家に帰って一人になってから、「本当に付き合ったんだ」と実感した

駅でタクさんと別れて、
家に帰りました。

玄関で靴を脱いで。

バッグを置いて。

部屋着に着替えて。

そこまでは、
いつものデート帰りと同じでした。

でも、

一人になった瞬間。

今日の帰り道を
もう一度思い出してしまったんです。

「俺たち、ちゃんと付き合わない?」

タクさんの言葉。

「私も付き合いたい」

って答えた自分。

思い出したら、

急に恥ずかしくなって、
一人でちょっと笑ってしまいました。

そして、

ベッドに入ってからも考えていました。

今日から、
タクさんは私の彼氏。

次に会う時は、
もう「付き合う前の二人」じゃない。

そう思ったら、

うれしいような。

恥ずかしいような。

まだ少し信じられないような。

いろんな気持ちが混ざっていました。

少し前まで、

返信が遅いだけで不安になったり。

私ばっかり会いたいのかなって悩んだり。

優しいのは脈ありなのか、
ただ優しい人なのか考えたり。

ずっと答えの分からない恋をしていたんですよね。

だからこそ、

「付き合うことになった」

という答えが出た夜は、

思っていた以上に
ほっとしたのを覚えています。

エリ
エリ

家に帰ってからの方が実感しました。「え、私ほんとに彼氏できたんだ」って。笑

タクさんの優しさが「ただ優しいだけなのか、それとも私に気があるのか」で悩んでいた頃のことは、こちらにも書いています。

付き合う前の「曖昧な時間」も、無駄じゃなかったと思う

付き合う前って、

相手の気持ちが分からないから
本当にいろんなことを考えます。

連絡が来たらうれしい。

少し遅いと不安になる。

次の約束が決まれば安心して、

また会いたいと言われたら
その一言を何度も思い出す。

今振り返ると、

「そんなに考えなくてもよかったのに」

と思うこともあります。笑

でも、

その時は答えを知らないんだから、
仕方ないんですよね。

脈ありかどうか。

付き合えるのか。

相手も同じくらい好きなのか。

恋愛って、
先に答えを見てから始めることはできません。

だから私は、

不安になっていた時間まで
全部無駄だったとは思いません。

タクさんのことを少しずつ知って。

一緒にいて楽しいと思って。

会っていない時間にも思い出すようになって。

最後に、

「私はこの人が好き」

って自分で認められた。

その時間があったからこそ、

「付き合わない?」

と言われた時に、

私はちゃんと、

「付き合いたい」

って答えられたんだと思います。

エリ
エリ

曖昧な時期はしんどかったけど、その時間があったから自分の気持ちにもちゃんと気づけたんだと思います。

好きな人が「彼氏」になった夜、素直にうれしかった

この日の私は、

この先のことなんて
まだ何も考えていませんでした。

付き合ったら、
どんな二人になるんだろう。

どれくらい会うんだろう。

初めて彼女として会う日は、
どんな感じなんだろう。

そんなことを考えるだけで、
ちょっと楽しかった。

もちろん、

付き合えたからといって
恋愛の不安が全部なくなるわけではありません。

恋人になったらなったで、

今度はまた、
違うことで悩むこともあります。

でもそれは、
もう少し先のお話。

この夜だけは、

先のことを心配するより、

好きな人が
私を選んでくれたこと。

そして、

私もちゃんと
「好き」と思える人と付き合えたこと。

そのうれしさを、
そのまま感じていました。

3年間彼氏がいなかった私に、

久しぶりにできた彼氏。

それが、
タクさんでした。

エリ
エリ

この日は本当に、ただうれしかったです。「彼氏できたんだ〜」って一人でニヤニヤしてました。笑

付き合えたことより、「好き」と思える人と付き合えたことがうれしかった

彼氏ができた。

それだけでも、
もちろんうれしかったです。

でも今振り返ると、

この夜いちばんうれしかったのは、

「彼氏ができたこと」

だけじゃなかった気がします。

寂しいから、
誰かと付き合いたかったわけじゃない。

一人でいるのが嫌だから、
タクさんを選んだわけでもない。

会うたびに少しずつ惹かれて。

会っていない時にも思い出して。

もっと話したい。

また会いたい。

この人のことを、
もっと知りたい。

そんな気持ちが積み重なって、

私はちゃんと、

「タクさんが好き」

と思えるようになりました。

その相手から、

「付き合わない?」

と言ってもらえた。

だから、
あんなにうれしかったんだと思います。

恋人がいることより、

自分が好きになった人と
同じ方向を向けたこと。

この夜の私は、

それが何より
幸せでした。

エリ
エリ

「彼氏ができた!」より、「好きな人と付き合えた!」の方が、私には大きかったんだと思います。

タクさんは、今の私から振り返ると最後に付き合った人です。

この恋が終わってから、
私はもう3年間彼氏がいません。

そんな今の私が恋愛について思うことや、
彼氏がいない時間の中で感じてきたことは、
こちらにも書いています。

曖昧だった二人の関係が、この夜やっと「恋人」に変わった

最初から、

タクさんと付き合う未来が
見えていたわけではありません。

ごはんに行って。

少しずつ話すことが増えて。

また会いたいと思うようになって。

連絡を待ってしまったり。

返信ひとつで
うれしくなったり、不安になったり。

「これって脈ありなのかな」

「私だけが好きになってるのかな」

何度も考えました。

そしてようやく、

相手の気持ちを考える前に、

「私はタクさんが好き」

って自分の気持ちを
認めることができました。

その次のデートで、

「俺たち、ちゃんと付き合わない?」

と言われました。

たった一言で、

ずっと曖昧だった二人の関係に
名前がつきました。

タクさんは、
私の彼氏。

私は、
タクさんの彼女。

今思い返しても、

あの帰り道の空気は
なんとなく覚えています。

少し冷たかった夜の空気。

並んで歩いた道。

そして、

家に帰ってから
一人でニヤニヤしていた私。笑

この時の私は、

ただ純粋に、

これから始まる
タクさんとの恋人としての時間を
楽しみにしていました。

次に会う時は、

もう「付き合う前」じゃない。

彼女として会うんだ。

そう考えるだけで、
ちょっと照れくさくて。

でも、

すごく楽しみでした。

エリ
エリ

次に会う時は「好きな人」じゃなくて「彼氏」。それだけで、次のデートが今まで以上に楽しみでした。笑

次回、タクさん編 第19話。

付き合うことになってから、
初めてタクさんに会う日。

今まで何度も会っていたはずなのに、

「今日は彼氏に会うんだ」

と思うだけで、
なんだか少し照れくさくなりました。

待ち合わせをして。

一緒に歩いて。

ごはんを食べて。

やっていることは、
付き合う前とそんなに変わらない。

それなのに、

前より近くにいられることが
うれしかったんです。

付き合いたてだからこその、

ちょっとした照れと、
ちょっとした幸せ。

次回、

「彼氏と彼女」になってから
初めて過ごした二人の時間を書きます。

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