「このままでいいのかな」
そう思うようになってからも、
私はすぐにタクさんと別れようとは思いませんでした。
だって、まだ好きだったから。
会えばやっぱり嬉しかったし、
隣を歩けば落ち着いたし、
くだらないことで笑っている時間も好きでした。
嫌いになれたなら、
たぶんもっと簡単だったと思います。
でも私が悩んでいたのは、
「好きか、嫌いか」
じゃなくて、
「好きなまま、この寂しさを抱えて付き合い続けられるのかな」
ということでした。
だから私は、
一度ちゃんと話してみようと思いました。
会いたいと思っていること。
寂しいと感じることがあること。
私ばかりが会いたがっているように感じて、
少し苦しくなっていたこと。
言ったら重いと思われるかもしれない。
面倒くさい彼女だと思われるかもしれない。
それでも、
何も言わないまま、
自分の気持ちだけを小さくしていく恋にはしたくなかったんです。
あの日。
私はタクさんに、
初めてちゃんと自分の寂しさを話しました。
そしてその日から少しずつ、
大好きだった恋の終わりが始まりました。
- 「ちょっと話したいことがある」って、初めて言いました
- 「私、もう少し会いたいって思ってる」
- タクさんは、すぐには答えませんでした
- 話した次の週、タクさんから「会おう」って言ってくれました
- 「ちゃんと伝えれば、うまくいくのかもしれない」と思った
- でも、少しずつ元の二人に戻っていきました
- どっちかが我慢しないと続かないなら、それは少し違う気がした
- それでも私は、別れる決心ができませんでした
- 「もう一回、ちゃんと話そう」って私から言いました
- 「エリに合わせようとは思ってる。でも…」
- 私もタクさんも、たぶんずっと頑張っていました
- 「じゃあ、どうしたらいいんだろうね」
- 「好きだけど、別れた方がいいのかな」
- 最後に「ありがとう」って言われました
- 家に帰って、一人になってから泣きました
- 次の日の朝も、世界は普通に動いていました
- 時間が経っても、タクさんを嫌いにはなれませんでした
- タクさんは、私の最後の彼氏になりました
- 三年経った今なら、あの恋の答えが少しだけ分かります
- だから今、私はこの恋を書いています
- そして今も、私は一人です
- タクさんへ。好きになれて、よかったです
「ちょっと話したいことがある」って、初めて言いました
その日は、
いつものように二人でご飯を食べていました。
特別な場所じゃありません。
何度か一緒に行ったことのあるお店。
隣のテーブルから笑い声が聞こえて、
店員さんがお皿を運ぶ音がして。
タクさんもいつも通りでした。
「これ美味しいね」
そんなことを言いながら、
普通に笑っていました。
だから余計に、
言い出しにくかった。
せっかく楽しいのに。
今じゃなくてもいいんじゃないかな。
また今度にしようかな。
何度もそう思いました。
でも、
“また今度”にしたら、
私はたぶんまた笑ってごまかす。
そう思って、
飲んでいたグラスをテーブルに置きました。
「タクさん」
「ん?」
「……ちょっと、話したいことあるんだけど」
言った瞬間、
自分の心臓の音が急に大きくなった気がしました。
告白するときより、
緊張していたかもしれません。

別れたいんじゃない。ただ、ちゃんと分かってほしかったんです。
「私、もう少し会いたいって思ってる」
何から話せばいいのか分からなくて、
最初はうまく言葉になりませんでした。
「最近ね……」
そこまで言って、
また少し黙って。
タクさんは急かさずに待ってくれていました。
だから私は、
思っていたことを一つずつ話しました。
「私、タクさんともう少し会いたいって思ってる」
「うん」
「もちろん毎日とかじゃないよ」
なぜか私は、
すぐに言い訳を足していました。
重いと思われたくなかったんだと思います。
「でも休みが一緒だったら会いたいなって思うし……」
「うん」
「会えないと、ちょっと寂しいなって思うこともある」
ここまで言うだけで、
すごく恥ずかしかった。
付き合っているんだから、
“会いたい”
くらい普通に言えばよかったのに。
あの頃の私は、
好きな人に嫌われることが怖くて、
自分の気持ちを伝える前に、
いつも相手にとって都合のいい大きさまで小さくしようとしていました。
でもその日は、
もう一つだけ言いました。
「私ばっかり会いたいって思ってるのかなって、たまに不安になる」
やっと言えた。
ずっと心の中にあった言葉でした。
タクさんは、すぐには答えませんでした
タクさんは少し黙っていました。
怒っている感じではありませんでした。
困ったように笑うわけでもなく、
ただ、
言葉を選んでいるように見えました。
その数秒が、
私にはすごく長く感じました。
そして、
「そう思わせてたなら、ごめん」
と言いました。
優しい声でした。
だから一瞬、
安心しました。
ちゃんと伝わった。
これで少し変わるかもしれない。
そう思ったんです。
でもタクさんは、そのあと続けました。
「俺はたぶん、付き合ってても一人の時間が結構必要なんだと思う」
私は黙って聞いていました。
「会いたくないわけじゃないよ」
「うん」
「エリと会うのも楽しいし、好きだし」
好き。
その言葉が聞けて、
嬉しいはずなのに。
胸の奥が少しだけ痛くなりました。
たぶん私は、
その次に来る言葉が、
なんとなく分かってしまったからです。
「でも俺は、休みが一緒だから毎回会いたいっていう感じではないかも」
タクさんは、
悪いことを言っているわけじゃありませんでした。
私を嫌いだと言ったわけでもない。
ただ、
正直に自分の気持ちを話してくれただけでした。
だからこそ、
何も責められませんでした。

「嫌いじゃない」って分かったのに、なぜか少し泣きそうになりました。

話した次の週、タクさんから「会おう」って言ってくれました
あの日、話をしたあと。
私は少しだけ後悔していました。
言わない方がよかったかな。
タクさんに、
気を遣わせちゃったかな。
帰り道もそんなことを考えていたし、
家に着いてからも、
「重かったかな……」
って何度も思いました。
でも次の週。
仕事が終わってスマホを見ると、
タクさんからLINEが来ていました。
「今週どっかで会う?」
その一文を見た瞬間、
単純だけど、
すごく嬉しかったんです。
私からじゃない。
タクさんの方から、
会おうって言ってくれた。
たったそれだけなのに、
ずっと欲しかったものを
やっともらえたような気がしました。
私はすぐに、
「会いたい」
って返しました。
今度は、
その言葉を小さくしませんでした。

あのときは本当に嬉しかった。「言ってよかった」って思いました。
「ちゃんと伝えれば、うまくいくのかもしれない」と思った
それからしばらく、
タクさんは前より少しだけ、
会う時間を作ってくれるようになりました。
毎週ではなかったし、
急に何もかも変わったわけでもありません。
でも、
「来週どうする?」
って聞いてくれたり、
「この日なら空いてるよ」
って先に言ってくれたり。
私が欲しかったのは、
たぶんこういうことだったんだと思います。
会う回数そのものより、
“私と会いたいって思ってくれている”
そう感じられること。
だから私は、
前より安心していました。
あの日、
勇気を出して話してよかった。
ちゃんと伝えれば、
二人で合わせていけるのかもしれない。
そう思っていました。
実際、
その頃の私たちは
普通に笑っていたし、
一緒にご飯を食べて、
くだらないLINEもして、
ちゃんと恋人でした。
今思い返しても、
あの時間まで全部つらかったなんて、
私は思いません。
むしろ、
幸せだった時間の方が
たくさん残っています。
「私が合わせればいい」と思い続けていた私が、初めて自分の気持ちを無視できなくなった頃のことは、前のお話に書いています。
でも、少しずつ元の二人に戻っていきました
変化は、
本当に少しずつでした。
最初はタクさんから誘ってくれていたけれど、
時間が経つにつれて、
また私から聞くことが増えていきました。
「今週どうする?」
「次いつ会える?」
そんなLINEを打つこと自体が、
嫌だったわけではありません。
会いたい方が誘えばいい。
今なら、
そう思えます。
でも当時の私は、
自分から誘うたびに、
「また私からだ」
って小さく引っかかっていました。
タクさんが無理をしていたのかもしれない。
私に合わせようとしてくれていたのかもしれない。
それが分かるから、
責めることもできませんでした。
私だって、
タクさんに無理をしてほしくて
気持ちを伝えたわけじゃない。
ただ、
二人とも自然なままでいようとすると、
いつの間にかまた、
私が少し寂しくなる距離に戻ってしまう。
そのことに気づき始めました。
どっちかが我慢しないと続かないなら、それは少し違う気がした
タクさんが悪いわけじゃない。
私が重すぎたわけでもない。
そこは今でも、
そう思っています。
一人の時間を大切にしたいタクさん。
好きな人とは、
もう少し一緒にいたい私。
どちらも、
間違っていませんでした。
だから難しかった。
タクさんが私に合わせれば、
タクさんが無理をする。
私がタクさんに合わせれば、
私は寂しさを飲み込む。
もちろん恋人同士なら、
少しくらい相手に合わせることは
必要だと思います。
全部が同じ二人なんて、
きっといないから。
でも、
ずっとどちらかが
自分の気持ちを小さくし続けないと成立しないなら。
それは、
“思いやり”とは少し違うんじゃないかな。
そんなことを、
考えるようになりました。

好きなら何でも乗り越えられるって、あの頃は思ってたんです。でも、好きだからこそ無理させたくなかった。
それでも私は、別れる決心ができませんでした
ここまで考えても、
私はまだ、
「別れよう」
とは思えませんでした。
タクさんの名前がスマホに出れば嬉しい。
会える日が決まれば楽しみ。
待ち合わせで姿を見つけたら、
やっぱり少し笑ってしまう。
そんな相手と、
どうして簡単に別れられるんだろう。
「合わないところがある」
それだけで、
好きな人を手放していいのかな。
もっと私が大人になればいいのかな。
もう少し時間が経てば、
気にならなくなるのかな。
何度も考えました。
そして私は、
すぐに答えを出さないまま、
もう少しだけタクさんと付き合い続けました。
たぶん心のどこかで、
何かが変わるのを
待っていたんだと思います。

「もう一回、ちゃんと話そう」って私から言いました
それから少し経った頃。
私はもう一度、
タクさんに話をしたいと言いました。
前みたいに、
「もっと会いたい」
だけを伝えるためじゃありません。
私自身もまだ、
どうしたいのか分かっていませんでした。
別れたいわけじゃない。
できるなら、
このまま一緒にいたい。
でも、
寂しいと思うたびに我慢して、
その我慢が苦しくなったら
タクさんに変わってもらって。
それでタクさんが無理をして、
しばらくしたら、
また元に戻って。
そんなことを繰り返していくのかなって考えると、
少し怖くなっていました。
だから、
「どうしたら二人とも無理しないで付き合えるんだろう」
それを一緒に考えたかったんです。
別れるための話じゃなくて、
続けるための話をするつもりでした。

このときもまだ、私は「別れない方法」を探していました。
「エリに合わせようとは思ってる。でも…」
私が思っていることを話すと、
タクさんはしばらく黙ってから、
「俺も考えてた」
と言いました。
そして、
「エリが寂しいって言ってたから、できるだけ会うようにしようとは思ってた」
そう言ってくれました。
やっぱりそうだったんだ。
嬉しい気持ちと、
申し訳ない気持ちが同時にきました。
タクさんはちゃんと、
私の話を聞いてくれていた。
私のために、
自分なりに変わろうとしてくれていた。
でも。
「正直に言うとさ」
少し間を置いて、
タクさんが続けました。
「ずっとこのペースで会うのは、俺にはちょっとしんどいかもしれない」
責めるような言い方ではありませんでした。
むしろ、
言いにくそうでした。
だから私は、
「そっか」
としか言えませんでした。
その言葉を聞いた瞬間、
何かが壊れたわけじゃありません。
ただ、
ずっと見ないようにしていたものが、
やっとはっきり見えた気がしました。
私もタクさんも、たぶんずっと頑張っていました
「エリが悪いとかじゃないよ」
タクさんはそう言いました。
「分かってる」
私は答えました。
本当に、
分かっていました。
私だって、
タクさんに毎週会ってほしいと
約束させたいわけじゃない。
一人で過ごしたい日に、
私のためだけに予定を空けてほしいわけでもない。
でも私は、
好きな人とは、
自然に「会いたい」と思い合える関係でいたかった。
たぶんタクさんは、
好きな人がいても、
自分の時間をちゃんと持っていたい人だった。
その違いを埋めるために、
タクさんは会おうとしてくれて。
私は寂しくないふりをしようとして。
二人とも、
相手のために少しずつ頑張っていました。
それなのに、
頑張れば頑張るほど、
どちらかが少し苦しくなる。
そこで初めて私は、
「好きなのに合わない」
って、
こういうことなのかもしれないと思いました。
付き合えたことが嬉しくて仕方なかった頃、私は「好きならそれだけで幸せ」だと思っていました。最初に小さな寂しさを感じた日のことも、今ならこの恋に必要だった時間だったと思えます。
「じゃあ、どうしたらいいんだろうね」
少し沈黙が続きました。
どちらも、
次の言葉を言いたくなかったんだと思います。
私はテーブルの端を見ながら、
「じゃあ、どうしたらいいんだろうね」
って言いました。
タクさんも、
「うん……」
とだけ答えました。
誰かが悪ければ、
もっと簡単だったのかもしれません。
ひどいことをされたとか。
大きな喧嘩をしたとか。
嫌いになったとか。
それなら、
怒って終われたのかもしれない。
でも、
タクさんは優しかった。
私もまだ好きでした。
だから、
答えが出ない沈黙だけが
二人の間に残りました。
しばらくして、
タクさんが小さな声で言いました。
「このままだと、エリずっと寂しいんじゃない?」
その言葉を聞いたとき、
すぐに「そんなことない」と言えませんでした。
言ったら、
また同じことを繰り返す気がしたから。
私は少しだけ俯いて、
「……たぶん」
と答えました。
「好きだけど、別れた方がいいのかな」
どちらが最初に
“別れる”という言葉を言ったのか。
今となっては、
細かいところまでは覚えていません。
ただ、
その言葉が出た瞬間のことは覚えています。
急に胸が苦しくなって、
聞かなかったことにしたくなりました。
「好きだけど……」
自分で言いながら、
声が少し震えました。
「別れた方がいいのかな」
言いたくなかった。
本当は、
タクさんに
「いや、別れたくない」
って言ってほしかったのかもしれません。
全部どうにかするから、
一緒にいようって。
でも、
それを言わせたら、
またタクさんに無理をさせることになる。
タクさんはしばらく黙ったあと、
「俺も、エリのこと嫌いになったわけじゃない」
と言いました。
その言葉が、
いちばんつらかった。
嫌いじゃない。
私も嫌いじゃない。
それでも、
二人ともすぐに
「じゃあ付き合い続けよう」
とは言えませんでした。
たぶんその時点で、
私たちはもう、
答えを分かっていたんだと思います。

嫌いになってくれた方が、楽だったのかなって。あのときは少しだけ思いました。
最後に「ありがとう」って言われました
結局、
私たちは別れることになりました。
ドラマみたいな別れではありませんでした。
泣きながら追いかけたわけでもないし、
大声で喧嘩したわけでもない。
ただ、
二人で話して、
二人で黙って、
最後に出した答えでした。
帰る前。
タクさんが、
「今までありがとう」
と言いました。
私はその言葉を聞いた瞬間、
初めて泣きそうになりました。
“今まで”。
その言葉だけで、
本当に終わるんだって分かったから。
私も、
「こちらこそ、ありがとう」
って返しました。
ちゃんと言えたかは、
あまり覚えていません。
声が震えていた気もします。
でも、
最後にタクさんの顔を見たとき、
嫌いという気持ちはありませんでした。
初めて二人でご飯に行った夜も。
返信を待って何度もスマホを見た夜も。
次に会える日が決まって喜んだことも。
付き合おうと言われたことも。
彼氏になったタクさんと
初めて会った日の照れくささも。
全部、
ちゃんと好きだった私の時間でした。
だから、
最後まで嫌いにはなりたくありませんでした。

家に帰って、一人になってから泣きました
家に着いて、
ドアを閉めた瞬間。
部屋は、
いつもと何も変わっていませんでした。
いつもの明るさ。
いつもの匂い。
いつもの静かな部屋。
なのに、
今日までと同じ場所には思えませんでした。
バッグを置いて、
着替える気にもなれなくて。
そのまま床に座りました。
さっきまで私は、
タクさんの彼女だった。
でも、
もう違う。
明日になっても、
来週になっても、
「次いつ会う?」
って聞くことはない。
タクさんからLINEが来ても、
もう“彼氏からのLINE”じゃない。
そう考えた瞬間、
やっと涙が出ました。
別れるって決めたときより、
一人になったときの方が
ずっと寂しかった。
私は膝を抱えたまま、
声を出さないように泣きました。
嫌いになったわけじゃないのに。
好きだったのに。
それでも、
終わる恋ってあるんだなって。
あの夜、
初めて知りました。

好きなまま別れたから、しばらくは「これでよかったのかな」って何度も考えました。
次の日の朝も、世界は普通に動いていました
次の日。
目が覚めた瞬間、
ほんの数秒だけ、
昨日のことを忘れていました。
でも、
すぐに思い出しました。
「あ、別れたんだ」
不思議ですよね。
私にとっては、
すごく大きなことが起きたのに。
カーテンを開けたら、
普通に朝で。
外では車が走っていて。
仕事に行けば、
みんな普通に「おはよう」って言う。
世界は何も変わっていませんでした。
変わったのは、
私の中にあった
“彼氏がいる日常”
だけ。
休憩中。
なんとなくスマホを開いて、
タクさんとのLINEを見そうになって。
やめました。
まだ消せなかったし、
消そうとも思えませんでした。
楽しかったLINEまで消したら、
あの恋そのものを
なかったことにしてしまう気がしたから。
時間が経っても、タクさんを嫌いにはなれませんでした
別れてすぐは、
いろんなことを思い出しました。
初めてLINEをした夜。
返信が来るだけで嬉しかったこと。
初めて二人でご飯に行った日のこと。
次に会える日が決まって、
一人でニヤニヤしていたこと。
好きだと気づいた夜。
付き合うことになった日。
彼氏になってから初めて会って、
同じ人なのに
妙に照れくさかったこと。
そして、
少しずつ寂しくなったこと。
全部が、
同じ恋の中にありました。
だから私は、
最後が別れだったからって、
それまでの時間まで
失敗だったことにはしたくありませんでした。
あのときの私は、
ちゃんとタクさんが好きだった。
タクさんも、
タクさんなりの形で
私を大切にしてくれていたと思います。
ただ、
二人にとって心地いい恋人の距離が
少し違っていただけ。
今なら、
そう思えます。
曖昧だった二人が「恋人」になったあの日の嬉しさも、別れたからって嘘になるわけじゃありません。
タクさんは、私の最後の彼氏になりました
それから、
私は新しい彼氏を作りませんでした。
最初から、
「もう恋愛なんてしない」
って決めていたわけではありません。
誰かを好きになるのが
怖くなったわけでもない。
ただ、
気づいたら一年が過ぎて。
二年が過ぎて。
そして、
三年。
タクさんと別れてから、
私は彼氏を作らないまま
ここまで来ました。
だから、
今の私にとって、
タクさんは最後の彼氏です。
三年間彼氏がいない。
その一言だけ聞いたら、
なんだか寂しい女みたいに
見えるかもしれません。
でも、
私はこの三年間ずっと
タクさんを引きずっていたわけでもありません。
仕事をして。
友達と笑って。
一人でカフェに行って。
お酒を飲んで。
一人の夜に
ちょっと寂しくなることもあって。
普通に生活してきました。
恋人がいない時間にも、
ちゃんと私の毎日は続いていました。
彼氏がいない休日も、一人で過ごす時間も、今ではちゃんと私の日常です。
三年経った今なら、あの恋の答えが少しだけ分かります
三年経った今、
あの頃の自分に何か言えるとしたら。
「もっと我慢すればよかった」
でも、
「もっと早く別れればよかった」
でもありません。
たぶん、
「ちゃんと好きだったなら、それでいいよ」
って言うと思います。
恋愛って、
続いた長さだけで
成功とか失敗とか決まるものじゃないんですよね。
付き合って。
笑って。
寂しくなって。
悩んで。
ちゃんと話して。
それでも違うと分かって、
別れた。
あの恋があったから、
私は、
“好き”だけじゃなくて、
“自分がどんな関係なら幸せでいられるのか”
も考えるようになりました。
私はたぶん、
好きな人には会いたいって言いたい。
寂しい日は、
寂しいって言いたい。
そして、
相手からも時々、
「会いたい」
って言ってほしい。
そんな恋がしたいんだと思います。
それに気づかせてくれたのが、
最後の彼氏だった
タクさんでした。

別れたことより、好きだったことを覚えていたい。今はそう思っています。
だから今、私はこの恋を書いています
このブログで、
タクさんとのことを
最初から書こうと思ったとき。
正直、
こんなに細かく思い出すとは
思っていませんでした。
LINEを待っていた夜。
初めて二人で会う前の緊張。
「次はもっとゆっくりしよう」
その一言が嬉しかったこと。
好きだと気づいたこと。
付き合えた日のこと。
そして、
別れた日のこと。
書きながら、
「あの頃の私、めちゃくちゃ好きだったんだな」
って何度も思いました。
ちょっと恥ずかしいですけどね。笑
でも、
三年経った今だから、
やっとこうして書けたのかもしれません。
あの恋を、
悲しい思い出だけにしないで。
ちゃんと、
私の大切な過去として。
そして今も、私は一人です
タクさんと別れてから三年。
今も、
私には彼氏がいません。
仕事から帰って、
一人でご飯を食べる夜もあります。
休日に一人でカフェへ行く日もあります。
お酒を飲みながら、
「誰かと話したいな」
って思う夜もあります。
前だったら、
そんな自分を少し寂しいと思っていました。
でも今は、
一人でいられることと、
誰かを好きになりたいと思うことは、
別に矛盾しないと思っています。
一人の時間も好き。
でも、
また誰かを好きになれたらいいなとも思う。
次に恋をするときは、
前より少しだけ素直に、
「会いたい」
って言える私でいたいです。
そして、
それを嬉しいと思ってくれる人だったらいいな。
……まあ、
まだ相手はいないんですけどね。笑

三年間彼氏いないけど……次はちゃんと「会いたい」って言える恋がしたいな。
タクさんとの恋が終わってから三年。今ここでブログを書いている私がどんな人なのかは、プロフィールにもまとめています。
タクさんへ。好きになれて、よかったです
タクさん。
もう今さら、
これを読むことはないと思うけど。
あの頃の私は、
返信ひとつで喜んで。
会えるだけで嬉しくて。
少し寂しくなって。
たくさん悩んで。
それでも、
あなたのことが好きでした。
最後は別々の道を選んだけど、
私はあの恋を
後悔していません。
好きになったことも。
付き合ったことも。
別れたことも。
全部あったから、
今の私がいます。
ありがとう。
そして、
さようなら。
私の最後の彼氏だった人。
好きになれて、
よかったです。

ここまで読んでくれて、ありがとうございました。これで、タクさんとのお話はおしまいです。

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