タクさんと付き合い始めてから、
しばらくの私は、
本当に浮かれていたと思います。
朝起きてスマホを見るのも。
仕事が終わってLINEを確認するのも。
次に会える日を考えるのも。
全部が、少しだけ楽しかった。
「彼氏がいる」って、
こういう感じだったなって。
久しぶりの感覚がうれしくて、
タクさんから連絡が来るだけで
自然と顔がゆるんでいました。
付き合う前みたいに、
「私のこと、どう思ってるんだろう」
って考えなくていい。
好きな人が、
ちゃんと私の彼氏になった。
それだけで、
もう不安になることなんて
ないと思っていたんです。
でも――
付き合って少し経った頃から、
ほんの小さなことで
寂しくなる日が増えていきました。
嫌われたわけじゃない。
冷たくされたわけでもない。
ケンカをしたわけでもない。
だから余計に、
自分でもよく分からなかった。
好きなのに。
ちゃんと付き合えているのに。
なんで私、
ちょっと寂しいんだろう。

付き合えたら、もっと安心できると思ってたんだけどな…。
- 付き合ってからも、タクさんは変わらず優しかった
- 私の中では、「次いつ会える?」が少しずつ増えていた
- 「会いたい」って言えばいいだけなのに、なぜか言えなかった
- 連絡が来ないわけじゃない。でも、前より気にするようになった
- 小さなことだからこそ、「寂しい」と言えなかった
- 欲しかったのは、LINEの数でも会う回数でもなかった
- 楽しい時間のあとほど、少しだけ寂しくなった
- 「好き」だけじゃ、同じ気持ちにはなれないのかもしれない
- それでも私は、「寂しい」の一言を飲み込んでいた
- 寂しかったのは、愛されていなかったからじゃなかった
- この時はまだ、小さな違いだと思っていました
- 付き合っているのに寂しい。そんな気持ちも、間違いじゃなかった
- 次回、タクさん編 第21話。
付き合ってからも、タクさんは変わらず優しかった
最初に言っておくと、
この頃のタクさんが
急に冷たくなったわけではありません。
会えば普通に優しかったし、
一緒にいる時は
ちゃんと楽しかった。
私の話も聞いてくれるし、
帰りが遅くなれば
「気をつけて帰ってね」
って言ってくれる。
付き合う前と同じように、
タクさんは
タクさんのままでした。
だから私は、
最初のうちは何も気にしていませんでした。
むしろ、
付き合ったからって
急に態度が変わらないところも、
タクさんらしくて好きだったんです。
ただ、
少しずつ一緒にいることが
当たり前になってくると、
今まで気にならなかったことまで
見えるようになりました。

会ったらやっぱり楽しいし、好きなんだよね。
私の中では、「次いつ会える?」が少しずつ増えていた
付き合う前は、
次に会う約束ができるだけで
十分うれしかった。
でも彼女になってからは、
その気持ちが少し変わっていました。
「今週会えるかな」
「次はいつかな」
って、
前より自然に考えるようになったんです。
仕事中ずっと考えているとか、
毎日会いたいとか、
そこまでではありません。
ただ、
好きな人が彼氏になったからこそ、
会えるなら会いたい。
たぶん私は、
そう思うことが増えていました。
でもタクさんは、
付き合ったからといって
会う頻度を急に増やすタイプではなくて。
仕事もあるし、
自分の予定もある。
それまでと同じペースで、
「また予定合う日に会おう」
という感じでした。
もちろん、
それがおかしいわけじゃない。
頭では分かっていました。
それでも、
私だけが次に会える日を
楽しみにしているような気がする瞬間があって。
そのたびに、
胸の奥がほんの少しだけ
寂しくなりました。

私ばっかり「会いたい」って思ってるのかな…。
「会いたい」って言えばいいだけなのに、なぜか言えなかった
今なら、
普通に言えばよかったと思います。
「今週、会いたいな」
たったそれだけ。
でも当時の私は、
その一言を言うのが
少し怖かったんです。
重いって思われないかな。
私ばっかり会いたがってるって
思われないかな。
そんなことを考えて、
結局いつも、
タクさんから次の話が出るのを
待っていました。
本当は会いたい。
でも、
向こうから言ってほしい。
自分から誘って会えるより、
タクさんの方から
「会おうよ」
って言ってもらえる方が、
好きでいてもらえている気がしたんです。
今振り返ると、
私は「会えるかどうか」だけを
気にしていたわけじゃなかったんだと思います。
会いたいと思っているのが、
私だけじゃないって感じたかった。
欲しかったのは、
次のデートの予定じゃなくて――
「俺も会いたいよ」っていう、
安心だったんですよね。

自分から言えばいいのにね。でも、好きな人から「会いたい」って言ってほしかった。

連絡が来ないわけじゃない。でも、前より気にするようになった
タクさんからLINEが来なくなったわけではありません。
普通に連絡は取っていたし、
返事が何日も来ないようなこともなかった。
それなのに、
付き合ってからの私は、
返信を待つ時間を
前より気にするようになっていました。
仕事が終わって、
スマホを見ても通知がない。
そんな時、
付き合う前なら
「忙しいのかな」
で終わっていたことが、
「今日は連絡ないんだ」
に変わっていったんです。
たぶん、
タクさんが変わったんじゃない。
彼女になったことで、
私の中に
「もう少し近くなれるのかな」
っていう期待が生まれていたんだと思います。
期待していることなんて、
自分では気づいていなかったけど。
期待していなかったら、
きっと寂しくもならなかった。
好きになって、
付き合えたからこそ、
欲しくなるものも増えていたんですよね。

連絡はちゃんと来るのに…。なんでこんなに気にしちゃうんだろ。
小さなことだからこそ、「寂しい」と言えなかった
もっと分かりやすく
冷たくされていたなら、
私も何か言えたのかもしれません。
でも、
会えば優しい。
LINEも返ってくる。
次のデートだって、
ちゃんとある。
だから、
「寂しい」
って言うほどのことなのかなって。
自分でも分からなかったんです。
タクさんに何かを言う前に、
「私が気にしすぎなのかも」
って、
自分の気持ちを引っ込めていました。
彼女なんだから、
もっと素直になればいいのに。
嫌われたくないと思うほど、
逆に本音が言えなくなっていたんですよね。

こんなことで寂しいって言ったら、面倒くさいって思われるかな…。
付き合う前の私は、
タクさんの優しさひとつで
「これって脈ありなのかな」って悩んでいました。
付き合えたら、
そんな不安はなくなると思っていたんです。
あの頃の気持ちは、こちらにも書いています。
欲しかったのは、LINEの数でも会う回数でもなかった
この頃の気持ちを、
今の私が振り返ると。
本当に欲しかったのは、
毎日のLINEでも、
毎週のデートでもなかった気がします。
私が欲しかったのは、
「タクさんも私と同じくらい会いたいのかな」
「私と同じくらい、この恋を大事にしてるのかな」
そう思える安心感でした。
だから、
返信が少し遅いだけでも気になったし、
次の約束をいつも私が待っているように感じると、
少し寂しくなった。
回数の問題じゃなかったんですよね。
好きな気持ちって、
同じ形では見えないから。
タクさんにはタクさんなりの
好きの伝え方があって、
私には私が安心できる
好きの伝わり方があった。
その違いに、
この頃の私は
まだ気づいていませんでした。

好きって気持ちは同じでも、安心できる距離って同じとは限らないんだね。

楽しい時間のあとほど、少しだけ寂しくなった
タクさんと会っている時は、
やっぱり楽しかったです。
くだらない話で笑ったり、
ごはんを食べながら
仕事の愚痴を聞いてもらったり。
「やっぱり好きだな」
って思う瞬間も、
ちゃんとありました。
だからこそ、
デートが終わって
ひとりになった時。
さっきまで楽しかったはずなのに、
急に少しだけ
寂しくなることがありました。
「次はいつ会えるんだろう」
そんなことを考えながら帰る私と、
「またね」
っていつも通り笑うタクさん。
もちろん、
その一言に悪い意味なんてありません。
でも当時の私は、
その「またね」の先を
タクさんの方から
もう少し欲しがってほしかったんだと思います。

楽しかったのに、帰り道だけちょっと寂しいんだよね…。
「好き」だけじゃ、同じ気持ちにはなれないのかもしれない
あの頃の私は、
付き合えたら
不安はなくなると思っていました。
お互い好きだから付き合う。
だったら、
会いたいと思うタイミングも、
連絡したいと思う頻度も、
きっと似ているんだろうって。
でも、
そんなに単純じゃなかったんですよね。
好きでも、
ひとりの時間を大切にする人もいる。
好きでも、
毎日連絡を取らなくて平気な人もいる。
反対に私は、
短いLINEでも、
次に会う約束でも、
相手から気持ちが見えることで
安心するタイプだったんだと思います。
どちらが正しいとか、
どちらの好きが大きいとかじゃない。
ただ、
同じ「好き」でも、
安心できる形は
人によって違う。
この恋を振り返って、
私はそう思うようになりました。

好きの大きさじゃなくて、伝わり方が違ったのかもしれないね。
それでも私は、「寂しい」の一言を飲み込んでいた
今なら、
もう少し素直に話せたらよかったなって思います。
「もう少し会えたらうれしい」
「たまにはタクさんから会いたいって言ってほしい」
それくらいなら、
きっと言ってもよかった。
でも当時の私は、
付き合えたことがうれしかったからこそ、
この関係を壊したくありませんでした。
せっかく好きな人と
付き合えたのに。
私が面倒くさいことを言って、
空気が変わったらどうしよう。
そう思うと、
小さな寂しさくらいなら
自分の中にしまっておけばいい。
そうやって、
何度も飲み込んでいました。
でも――
言わなかった気持ちは、
なくなったわけじゃなかったんです。
小さかったはずの違和感は、
少しずつ、
私の中に残っていきました。

言わなければ大丈夫って思ってた。でも、気持ちはちゃんと残るんだよね。

寂しかったのは、愛されていなかったからじゃなかった
今の私なら、
あの頃の寂しさを
少しだけ違う見方ができます。
タクさんが
私を好きじゃなかったから、
寂しかったわけじゃない。
私が重すぎたからでも、
わがままだったからでもない。
ただ、
私が安心できる愛情の形と、
タクさんが自然に見せる愛情の形が、
少し違っていたんだと思います。
私は、
「会いたい」
って言ってもらえることが
うれしかった。
次の約束を
向こうからしてくれることで、
大切にされているって感じたかった。
でも、
それを言葉にしないまま
「分かってほしい」
って思っていました。
好きな人だからこそ、
言わなくても
分かってくれる気がしていたんですよね。
でもきっと、
好きだから分かることと、
言わないと分からないことは、
別なんだと思います。
あの頃の私が感じていた寂しさは、
「もっと愛してほしい」
じゃなくて。
「私はこうされたら安心するよ」って、
まだ伝えられていなかった気持ちだったのかもしれません。

寂しいって、愛されてない証拠じゃないんだね。私はこうしてほしいって気持ちだったのかも。
この時はまだ、小さな違いだと思っていました
だからこの時は、
別れようなんて
一度も考えていませんでした。
タクさんのことは好きだったし、
会えば楽しかった。
少しくらい寂しくても、
付き合っていれば
こういうこともあるよね。
それくらいに思っていました。
むしろ私は、
この小さな違和感よりも、
好きな人と付き合えている幸せの方を
大事にしたかったんです。
だから、
言わなくても大丈夫。
そのうち慣れる。
そう思っていました。
でも――
小さな違いって、
ひとつだけなら
気にならないんですよね。
会いたいと思うタイミング。
連絡を取りたいと思う頻度。
言葉にしてほしい私と、
言わなくても伝わっていると思うタクさん。
ひとつひとつは、
本当に小さなことでした。
ただ、
その小さな違いが重なった時。
私は初めて、
「好きなのに、なんでこんなに寂しいんだろう」
だけでは済ませられなくなっていきました。
この時の私はまだ、
それを知りませんでした。

このくらいなら大丈夫。あの頃は、本当にそう思ってた。
付き合っているのに寂しい。そんな気持ちも、間違いじゃなかった
付き合っているのに寂しい。
当時の私は、
そんなふうに思う自分が
少し嫌でした。
好きな人と付き合えて、
会えば楽しくて、
ちゃんと優しくしてもらっている。
それなのに寂しいなんて、
欲張りなのかなって。
でも今は、
そうは思いません。
好きだからこそ、
もっと近くに感じたいこともある。
大切だからこそ、
相手の気持ちを
確かめたくなることもある。
そして、
自分が何をされたら安心できるのかは、
人によって違うんですよね。
私の場合は、
たくさんLINEが欲しかったわけでも、
毎日のように会いたかったわけでもありませんでした。
ただ時々、
タクさんの方からも
「会いたい」
って思ってくれていることを
感じたかった。
それだけだったんだと思います。
もし、
あの頃の私と同じように
「付き合ってるのに、なんで寂しいんだろう」
って思っている人がいたら。
その寂しさを、
すぐに
「愛されてないから」
って決めなくてもいいのかもしれません。
私はあとになって、
その寂しさの中に
「本当はこうしてほしい」
っていう自分の気持ちが
隠れていたことに気づきました。
寂しかったことより、
それを言えなかったこと。
たぶん、
私たちの小さなすれ違いは、
そこから始まっていたんだと思います。

寂しいって思った自分を責めなくてもよかったんだなって、今なら思います。
この少し前までの私は、
タクさんと付き合えたことが
ただうれしくて、
初めて“彼氏”として会う日にも
ひとりで照れていました。
あの頃の幸せな気持ちは、
前のお話に書いています。
次回、タクさん編 第21話。
付き合っているのに、
少しだけ寂しい。
その理由が、
私は少しずつ
分かり始めていました。
タクさんが冷たいわけじゃない。
嫌われたわけでもない。
ただ、
私が思っていた「恋人」と、
タクさんが思っていた「恋人」は、
少しだけ距離感が違ったんです。
私は、
もう少し会いたかった。
もう少し、
「会いたい」って
言ってほしかった。
でも、
そんな気持ちを
うまく言葉にできないまま。
ある日、
何気ない会話の中で、
その小さな違いが
はっきり見えた瞬間がありました。
悪気なんてない。
きっと、
タクさんにとっては
普通の一言だったと思います。
それなのに私は、
その言葉を聞いた瞬間、
少しだけ笑えなくなりました。
次回、
好きなのに、
同じ温度じゃない気がした。
少しずつ見えてきた、
タクさんと私の
“恋人との距離感の違い”について書きます。



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